年年大吉
中国に関連するモロモロのつぶやきです。
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DATE: 2009/09/27(日)   CATEGORY: 京劇
梅蘭芳 世界を虜にした男
芸術の秋です!
TOKYO京劇フェスティバル2009も開幕した模様。
あ~~行きたかった!
でも…今回は見送りました。
ていうか、やっぱり京劇を観劇する為に東京に出る、
というのはしんどいです、金銭的に(^^; 雲南行ったしなぁ。
まぁ、言ってみれば遊び過ぎの自業自得、ですよね。

しかし本音を言うと、大劇場での京劇鑑賞より、
こじんまりした劇場で見るのがスキです。
一体感があるっていうか、「好!」とか、声、掛けやすいし。
大劇場だとタイミング逃したら言いにくくて(爆)

代わりに、中国国家京劇院 新作「水滸伝」全国公演の方を見に行くので、
そっちで我慢します。
だってほんと全国回ってくれますし!交通費が助かる!

しかし京劇フェスティバルの方も、チケット余ってる、
とか聞くと、無理してでも行けば良かったかなぁ…なんて思います。
興業的にコケると、次回はなかなか日本に来てくれなくなるんじゃないか?
と思いますしね…

さて、本題!
久しぶりの読書感想文です。
日本で京劇の研究者と言えば、加藤徹先生ですが、
その著書、「梅蘭芳 世界を虜にした男」を読了しました!
梅蘭芳ー世界を虜にした男ー梅蘭芳ー世界を虜にした男ー
(2009/03/06)
加藤 徹

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恐らく、この本は、映画「花の生涯 梅蘭芳」の公開に合わせて
出版されたのでしょうね。
そろそろ映画のDVD出るので、Amazon行ったら関連の本を沢山勧められまして、
コレとかコレとかいろいろ購入しちゃったワケです。
花の生涯 ~梅蘭芳~ スペシャル・エディション [DVD]花の生涯 ~梅蘭芳~ スペシャル・エディション [DVD]
(2009/11/20)
レオン・ライチャン・ツィイー

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花の生涯~梅蘭芳~ (角川文庫)花の生涯~梅蘭芳~ (角川文庫)
(2009/02/25)
監)陳 凱歌

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花の生涯ー梅蘭芳 写真集花の生涯ー梅蘭芳 写真集
(2009/02/28)
監督)チェン・カイコー

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映画の方も見ましたが、
この本の方は、もっと突っ込んで梅蘭芳の事を書いていました。
映画は当然ながら、フィクション多めなんですよね(^^;
とはいえ、加藤先生が描かれる梅蘭芳の方が、より興味深かったです。
しかし事実のままだと映画にはならないでしょうね。
梅蘭芳自体が、静かなる闘志を秘めた男、というイメージなので、
そのまんまだと盛り上がらないと思います。

こちらの本では、
梅蘭芳の祖父、名女形だった梅巧玲の事から書き始めております。

梅蘭芳の父の梅竹芬も女形でしたが、24歳で亡くなっており、
琴師であった伯父の梅雨田に育てられました。
梅雨田は、その才能を認められ、
清末京劇界の大御所、譚鑫培のおかかえとなります。

しかしこの時代の京劇は、大変猥雑なものだったようです。
今でこそ、敷居の高いお芝居みたいに思われがちですが、
当時はエログロナンセンスに満ちた、
でもある種、活気のある時代だった模様。

息子のいない梅雨田にとっても、
梅蘭芳は梅家の跡取り息子となるため、
プレッシャーのかかる子供時代を過ごしたとか。
この時代の梅蘭芳は、瞼も腫れ、表情も乏しい子供だった、
とあります。
…写真、本書はもちろん、
上海で購入した、「梅蘭芳珍蔵老像冊」でも見ましたけど、
子ども好きの私としては、
さほど幼少の梅蘭芳をブサイクとも思わないんですが、
ま、確かに”俳優”という目線で見たら、
華のない、暗い子供、っていう感じかも、ですね。
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更に、最初についた京劇の師匠が匙を投げるほど、
梅蘭芳は不器用な子供だったようです。
名優だった祖父の遺伝子に期待が集まった事もあり、
周囲はずいぶん落胆したのでしょうね。

しかし、この時期、梅蘭芳はじっくりと体と声を作った為、
通常は短いとされる女形の寿命を随分と伸ばしたそうです。
生涯現役!
やはり基礎は大事、という事ですね。

そんな梅蘭芳ですが、17歳で結婚した事を機に、
大変化を遂げ、美少年振りを発揮。
人気女形となります。
ここんとこは、ドラマ的には、何らかの一大ショックにより大変化、
みたいなエピソードが欲しい所でしょうね。
結婚、くらいじゃ弱いかも。
という事で、映画の方では、最初から美少年、という設定でした。

そして、梅蘭芳は運命的な出会いをします。
斉如山。-映画の、邱如白のモデルです。
この強力なブレーンを得たことにより、
梅蘭芳は後世にまで語り継がれる名優となったのではないでしょうか?
先に述べた通り、当時の京劇は猥雑なのはもちろん、
演技も、古くからの決まり事に縛られ、
きめ細かい表現はなかったようです。
そこへ西洋帰りの斉如山が一石を投じ、梅蘭芳が応じました。
新しい動きに反応した梅蘭芳も流石ですが、
理論的に京劇を分析し、
西欧諸国にも恥じない、国劇としての京劇を目指した斉如山も立派、
と言えます。

梅蘭芳はやはり闘志をむき出しにしたりする男ではなかったようです。

映画でも師匠との対決がありましたが、
実際、これに似たエピソードがあり、
可愛がってくれた譚鑫培と、
図らずも同じ日に別の舞台に立つ事があったそうです。
これは劇場オーナーが、話題作りの為にそう仕向けたそうですが、
梅蘭芳自身は祖父と同年代の譚鑫培に敬意を払っていた為、
不本意だったとか。
そして案の定、梅蘭芳の方に客が流れてしまい、
譚鑫培の顔をつぶした、と思った梅蘭芳は、
敢えて、舞台が終わってすぐに、ではなく、譚鑫培と偶然会った寺で
「おじいさま」とだけ言って深々と頭を下げたとか。
何か、こういう控え目な態度にも
梅蘭芳の人柄が表れているように思いました。

その後、梅党が結成され、京劇に様々な新風を吹き込みました。
今、我々が目にする京劇のスタイルは、
ほとんど梅党が考え出したもののようです。
古い写真を見ると、くまどり役以外の俳優のメイクは随分シンプルです。
これも、昔は灯りが普及してないので、そんな感じだったようですが、
電灯が普及すると、舞台映えするように、と言う事で、
眼のまわりをピンクにしたり、クッキリと縁取ったメイクを導入したとか。
衣装や髪型にも色々と工夫を凝らしたようですし、
新作の演目もどんどん作っていったようです。
「覇王別姫」は梅蘭芳の得意演目ですが、
元々は「楚漢争」という演目だったとか。
つまり、項羽メイン、虞姫は完全なる添え物だったのですね。
それを斉如山が書きなおし、「覇王別姫」という芝居に仕上げ、
梅蘭芳演じる虞姫をメインに持ってきたそうです。

…なるほど、それで!とひとつ納得。
私が今までダイジェスト版で見てきた「覇王別姫」では、
虞姫の剣舞の辺りをメインとしていたのに対し、
先日の「覇王別姫~漢楚の戦い~」は項羽メインだった!
「覇王別姫」というタイトルの方が今や有名ですが、
こっちはつまり伝統的な「楚漢争」をベースにしていた、という事でしょうね。



映画の方では後半のテーマの一つとなっていた、
男形女優・孟子冬との恋。
実際に、孟子冬は内縁の妻だったようです。

映画では福芝芳が最初の妻、となっていましたが、
本当は王明華という第一夫人がいたのですね。
王明華は子どもを二人産んだ後、
避妊手術を受けたのですが、その二人の子は幼児期に死んでしまいます。
跡取りを残す事が大事とされたこの時代、
二番目の妻、福芝芳を正妻としてもらいうけます。
福芝芳はかなり気が強かったようです。
彼女は九人の子供をもうけましたが、成人出来たのは四人でした。
この頃って乳幼児の死亡率、高いんですね。

孟子冬と梅蘭芳の事実婚は四年ほど続いたそうです。
映画と違い、二人が別れる元となったのは、
梅蘭芳の伯母の葬式の時、孟子冬を福芝芳がいれなかった、
という、実にありがちな、本妻と妾(?)の争いが元だった、
と言うのが通説となっているとか。
ロマンチックじゃないけど、ま、一番普通ですね(^^;納得。

孟子冬は梅蘭芳と別れた後、
上海の青幇のボス、杜月笙と一緒になったとか。
この人の人生も波瀾万丈ですね。

梅蘭芳と孟子冬の子供ではないか、
と言われている京劇女優さんがいるそうで、
DNA鑑定をした訳ではないけれど、顔は二人に非常ににており、
そうであって欲しい、という民衆の願望がそんな噂を呼ぶのでしょうね。



梅蘭芳と言えば、もう一つ、抗日の為に、
女形なのに髭を生やして舞台に立たない、という、
蓄鬚明志を行った、愛国者としての顔がありますが、
これはどうも、日本軍、日本が嫌いだった、
というだけではないようです。
元々、争いを好まない、というか、
有名になった自分の言動が、どのような影響を与えるか、
非常によくわきまえており、
大きな権力にはなびかず、中立を保とうとしていたとか。
京劇の役者生命は大変短く、
関係者の地位もあまり高くはなかったようで、
そういった役者仲間の保護、といったことも、
梅蘭芳は行っていたようでした。
役者は人気商売、梅蘭芳は、自分の家族や知人を守る為にも
迂闊な行動は慎んでいたようで、
そこからも、梅蘭芳の人柄がしのばれます。


という事で、書ききれませんが、大変面白い本でした!
もっと加藤先生の著作、読んでみようと思いました(^^)

COMMENT

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● 名優
謫仙 | URL | 2009/09/27(日) 19:06 [EDIT]
わたしは阿吉のさんの解説だけで満足しそうです。
それにしても、一代の名優というのは、その存在だけで、物語になりますね。
わたしは原則として、私生活は拘らないのですが、判るなら、知りたいのも人情。同じ意味で、ドラマのメイキングも不要と考えるのですが、あれば夢中になって見ます。

わたしは東京に住んでいてもこのような情報は一切知らず、東京情報を阿吉さんに教えて貰うことになります(^_^)。
● >謫仙さんへ
阿吉 | URL | 2009/09/27(日) 22:34 [EDIT]
>それにしても、一代の名優というのは、その存在だけで、物語になりますね。
そうですね!
私生活は関係ないようでいて、
やはり演技とかにもにじみ出てくる部分もあるでしょうから、
ファンとしては興味が湧いてしまいます。
ご本人とか関係者の方は、
やっぱりそっとしておいてほしいと思われるのでしょうが…。

>わたしは東京に住んでいてもこのような情報は一切知らず、東京情報を阿吉さんに教えて貰うことになります(^_^)。
是非、謫仙さんもご覧になってください(^^)
最近は京劇団の来日公演も増えていて、
嬉しい限りです!
新幹線で行けるくらいの距離だったらば、
見たい公演が山ほどあるんですが、
地方在住者は涙をのむしかありません(T T)

Mario | URL | 2009/09/27(日) 23:37 [EDIT]
阿吉さんへ・・・
久しぶりの京劇生観劇なので、基礎知識を復習しておかないととは思っております。  今回の見所など教えてくださいね。
● >Marioさんへ
阿吉 | URL | 2009/09/28(月) 18:56 [EDIT]
>今回の見所など教えてくださいね。
うひゃー!
私も京劇好きですが、詳しい訳じゃないもんで(滝汗)
あ、でもかろうじて、Marioさんより、
私の方が先に鑑賞することになりそうですので、
鑑賞後には、素早く自分なりの感想文UPしますね!

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