年年大吉
中国に関連するモロモロのつぶやきです。
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DATE: 2008/04/02(水)   CATEGORY: リービ英雄
越境の声
西洋出身者なのに日本文学作家、という
リービ英雄さんの「越境の声」を読みました。
青い目の方が、翻訳のみでなく日本語で本を書く、
という事も驚きなのですが、
更に中国にも幾度となく渡って研究してらっしゃる、という、凄い方です!
「万葉集」を英訳して紹介された方でもあります。
例によって、リービさんを知ったのは
NHK中国語会話の文化情報コーナーです(^^;
私の情報源って限られてるなぁ…

越境の声越境の声
(2007/12)
リービ 英雄

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で、感想なのですが、
正直、ちょっと読むのが早すぎた!と思いました(^^;
というのも、この本は対談集で、
リービさんの著作を全く読んでない自分が読むのでは
解らない点がたくさんありました。

先に「星条旗の聞こえない部屋」とか「ヘンリーたけしレウイッキーの夏の紀行」
…等を読んでから挑んだ方が、理解が早かったような気がします。

星条旗の聞こえない部屋 (講談社文芸文庫)星条旗の聞こえない部屋 (講談社文芸文庫)
(2004/09)
リービ 英雄

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こちらはエッセイだそうです↓
我的中国我的中国
(2004/01)
リービ英雄

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「越境の声」は、多分、近代純文学についての対談なのですが、
難解ながら、それでも興味深かかったです!
しかし、今の私程度の理解でアレコレ感想を書くのは
絶対的を外した感想になりそうだし、際限なくなりそうなので、
しばし寝かせて、他の著作も読んでから再読してみたいと思います。
とりあえず、キーワードになりそうな言葉だけ、あげておいて、
再読の時の手がかりにしておきます。

○境界…【国境のある国においての境界】と【国境のない島国(日本)での境界】
○中華思想では、中国語が話せれば中国人という認識だが(多民族だし)、
 日本はそうではない。
○ズレ…あちら側とこちら側のズレから生まれるもの、作品
○アイデンティティ…【民族的な意味での日本人】と【国籍的意味での日本人】と
             【言語的意味での日本】
○万葉歌人の山上憶良は日本人ではなく、百済系帰化人であったという説。
 (これ、恥ずかしながら知りませんでした)
 漢語で書けたのに、あえて長歌を書いたという事。他の歌人とちょっと違う味わい。
○書き言葉としての日本語。日本語で小説を書くという事。
○日本の小説の美しさ、心象風景に重なる描写の細かさ
  (→これは最近翻訳物を読むようになって、自分でも多少感じます。)
○ジャパノロジストがネイティブになってしまうというタブー。
○村上春樹が世界各国で翻訳されて読まれているが、
 訳文を見ると、翻訳された文学とはわからないくらい、
 現代の世界各国共通の感覚とテーマ。「上海ベイビー」の衛慧も同じ。
○作家の多和田葉子さんの事。ドイツに住み、ドイツ語で本を書かれる方。
○中国の開封に2,000年間住んでいたユダヤ人(民族?)の事。
 「李」「赵」という姓を賜って、中国人になっていたが、
 1949年に国が出来て帰国した!壮大すぎる!


この本の中で、張芸謀(チャン・イーモウ)監督の映画『紅いコーリャン』の原作者、
莫言(モーイェン)さんとも対談されていますが、
リービさんは恐らく日本語で、莫言さんは中国語で、
間に通訳が入って対談されています。
(英語と中国語じゃないって所が、既に凄い…。)

赤い高粱 (岩波現代文庫)赤い高粱 (岩波現代文庫)
(2003/12/17)
莫言

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紅いコーリャン紅いコーリャン
(2004/02/21)
鞏俐、姜文 他

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で、最初、莫言さんもリービさんの著作を読んでいないまま対談するので、
探り探り、ちょっと噛みあわないな感じなのですが、
対談が進んでいくにつれ、
莫言さんも段々リービさんの聞きたいことを理解していって
それに答えていく過程が、なんか良かったです。
対談の最初に比べて、後半は翻訳された文章もとてもスムーズで
多分、お互いビンビン伝わっていたんだろうな~と思いました。
きっと通訳だけじゃなくてテレパシーも手伝ったんじゃないでしょうか(^^)
現場で話してるとそういう奇跡がありますよね。
書きものだけだとそうはいきませんけど…。

それにしても、とにかく盛りだくさんです!
いちいちナルホド~とは思うんですけどね。
ある事(=文学的ナニカ?)を探るのに、中から見ても解らない、
だから外側から見て、他と比較して研究する!
そして、西洋から日本を見る、というのはあるけれど、
リービさんはそれに更に+中国という目線で比較しているので、
より一層見える事が多いようです。

…そして自分が思っている以上に、
「万葉集」とか「俳句」で歌人(=日本人)がやってる表現は
凄いことなんですね。
英訳する時の苦労を聞くと、ナルホドと思うことしきり、です。
でも本当にその凄さがわかってるかというと…???
日本語ネイティブですからね~(^^;

このリービ英雄という人がやってる事は、
随分と凄い事で、こういう比較は誰でも出来る事じゃないと思いました。
(こんな結びだと小学生の感想文みたいだな…)

あぁ!純文学って難しい!
やっぱり翻訳読むなら大衆小説が良いなぁ…(爆)

COMMENT

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● 外国人が日本語で小説を書く
まや | URL | 2008/04/06(日) 01:04 [EDIT]
著作は読んでいませんが、リービ・英雄さんのことは以前
新聞の書評などで目にして、興味を持っていたので、
阿吉さんの感想をお聞きすると、これは是非読んでみないといけないなと感じました。
ちなみに、他に外国人が日本語で小説を書くというと、楊逸という、
日本に住む中国人女性が日本語で書いた「ワンちゃん」という作品も、
最近芥川賞の候補となって話題になっていましたね。

ところで、翻訳物の小説が読みにくい理由の一つは、
小説の背景となるその国の伝統的な価値観や風習、思想を
理解しなければ読みとれない部分があることではないでしょうか。
一つの言語にはその言語を使う人々の歴史が刻み込まれていると思います。

私がヨーロッパに興味を持ち、歴史や宗教などに付いて調べだしたのも、
元をただせば、子供の頃読んだ小説の中で理解できなかった箇所を
理解できるようになりたいと思ったからでした。
けれど、どんなに多くの本を読んでもその国の風土から発せられる
気のような物まではなかなか理解できる物ではありません。

やはり、翻訳物を読むには日本語ネイティブの作家が
日本語で書いた小説に比べ相当な想像力が要されるし、
翻訳者の方の知識量によってかなりレベルの差もあるしで、
しっくりくる物に出会える率が低いのかもしれませんね。

日本語でも純文学って取っつきにくいところがありますし、
ましてや翻訳となると・・・、ですね。
● >まやさんへ
阿吉 | URL | 2008/04/06(日) 21:34 [EDIT]
そうなんです!深いんですよ!

楊逸の「ワンちゃん」、これも読んでみたいんですよね!
翻訳者の水野衛子さんは、
こちらに芥川賞あげたいって言われてました。

ネイティブじゃない人が、その言語で考え、文章にする、
というのは、頭の中が何語になってるかも
想像つかないのですが、とても興味深い事です。

我々は日本語で考えるから日本人なのでしょうかね?
その「血」で証明するのではなくて。
でも日本語がしゃべれるからといって
日本の文学が書けるか、というと…?
(この辺から民族論じゃなくて文学論になるのでしょうか)

翻訳物については、「越境の声」でも書かれていましたが、
村上春樹の小説が全世界で流行っているのは、
日本の価値観や風習と関係なく、現代的な感覚で
書かれているから、翻訳されても違和感無く、
世界共通の感覚として読めるから、だそうです。
現代文学では平均化しており、どの国の物でも
差異なく読めてしまうようです。

それが良い事なのかどうか?

日本文学も、「万葉集」「源氏物語」など
古典は全世界で評価されていますし、
中国も「三国志」などの古典は評価されていますが、
近代以降は?
欧米文学からは軽視される傾向にあった、と。

…だんだんこの辺から、文学史がわからないので、
ついていけなくなってしまって(爆)
(まず欧米文学がサッパリなので…)

娯楽としてスラスラ読む訳にはいきませんが、
こういった純文学についても、もう少し勉強しないとなぁ!
と痛感した次第です(^^;

でもリービさんの作品、
読んでみる価値アリ!だと思います。

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