年年大吉
中国に関連するモロモロのつぶやきです。
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DATE: 2008/05/23(金)   CATEGORY: 楊逸
ワンちゃん
この出張中、楊逸(ヤン・イー)さんの「ワンちゃん」も読みました。
中国の方が日本語で書いた小説で、
芥川賞候補にもなり、話題となった本です。

楊逸(ヤン・イー)
1964年、中国ハルビン市生まれ。中国籍。
1987年、留学生として来日。
お茶の水女子大学文教育学部地理学専攻卒業後、
在日中国人向けの新聞社勤務を経て中国語教師として働く。
2007年、「ワンちゃん」で第105回文學界新人賞受賞。
2008年、「ワンちゃん」が第138回芥川賞候補となる。

ワンちゃんワンちゃん
(2008/01)
楊 逸

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外国人が日本語で書いた小説、という事で、
リービ英雄さんを思い、
中国女流作家の作品、という事で、
張愛玲(チャン・アイリン)を思う私でありました。

それにしても「傾城の恋」と同じタイミングで読んだというのには
何となく意味があったように思います。
まず、
外国人が日本語で書いたという点について。

主人公の「ワンちゃん」こと、
「王愛勤」改め日本語名「木村紅」が話す日本語は、
「まだ日本語が下手」という設定なので、
たどたどしく描かれています。
でも、ワンちゃんが考えている言葉や状況描写での日本語は
あまり不自然じゃない。
何となく、文体の癖みたいなのはあるようですが、
そういう事は二の次になるくらい、小説としてのテンポの良さというか、
内容があるように思いました。

この辺は翻訳小説とは又、違いますね。
間に翻訳者が入らない分、
作者の意図はダイレクトに伝わるように思います。

次に、中国女流作家の作品という点について。

張愛玲(1920年生まれ)と比べると、
楊逸さん(1964年生まれ)は44年の開きがある訳ですが、
1920年ころの中国都市部と現代の中国農村部の考え方は、
そんなに差が無いのかな~と言う気がしました。
かなり乱暴ですけど…(^^;

現代中国女流作家というと、
衛慧(1973年生まれ)の「上海ベイビー 」
春樹(1983年生まれ)の「北京ドール」も、
以前読んだ事があるのですが、
こちら2作品は、都会の若者の悩み・葛藤であり、
中国に限った話ではないように思います。
ただ、中国でもこういった作品が出た、という事は
かの国において、大きな意味があると思います。
しかし、翻訳して日本語で読む分には、大して目新しさは感じませんでした。

上海ベイビー (文春文庫)上海ベイビー (文春文庫)
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で、話を『ワンちゃん』に戻します。

とっても働きもののワンちゃんですが、
若いころ、子供が出来て、結婚したものの、
旦那の放蕩癖から離婚。
親権を放棄する代わりに全財産を子供の養育費に取られ、
無一文からまた働き始めるワンちゃん。
服のデザインと縫製、といった商売はかなり上手です。
しかし、しつような前夫からの金の無心にたびたび悩まされ、
それから逃れる為、ただその為だけに、日本に嫁ぐ事を決意。
33歳の時、お見合いパーティーに参加し、
四国在住の、年の離れた旦那と結婚します。
でもそこに「愛」はありません。
旦那も旦那の兄も無口な日本のオジサンで、
日々の生活には会話もほとんどありません。
姑とは何とか心が通っています。
あまり言葉も通じない日本で、不安も沢山あるのですが、
やはり稼がなければ!と、「お見合い斡旋業」を始めます。
そこで出会った、八百屋の土村さんに惹かれていくのですが…

「愛」は無くても、「結婚」という手段を取る、
というのは、「女の生きる道」として、
張愛玲の書く時代の女性と変わらないような気がしました。
ワンちゃんはおそらく38歳前後。
まぁワンちゃんの場合は、
お金を稼げない事が結婚の理由ではないのですが。
そんな生活の中で、
精神的に、土村さんに惹かれていく部分は
何とも切ないです。
しかし独身の若者の恋愛と違い、
既婚者のワンちゃんには姑の介護問題もあります。
次第に前夫の「たかり癖」を表してくる息子に対しての
色々な思いもあります。
当然、旦那もいます。(←なんか忘れそう)
土村さんの方も、
お見合いパーティで知り合った女性との結婚が決まっています。
このあたり、二人がただ感情に走るんじゃなくて、
まず生活ありき、という感じで、気持ちをぐっと押さえていて…。
どうなるの!?と。


一緒に収録されている書き下ろし作品の『老処女』。
こちらは、もっと前時代を引きずった
万事嬉という45歳の独身女性が主人公です。
「日本では産婦人科医師が男性だなんておかしい!」とか、
「貞節のない女は決して幸せになれない!」
といった、現代中国でも「時代遅れ」な考え方は滑稽です。
読んでいて、ツッコミを入れたくなります。
しかし話が進むにつれ、
彼女の育った家庭環境が明らかになって行き、
彼女の考え方やこだわりを
「遅れてる~!」と笑い飛ばせないモノが残ります。

中国の一人っ子政策、
男の子を有難がる風潮、
それらに対して問題を投げかけているようでした。


楊逸さんの作品、今後も注目して読んでいきたいなと思いました!(^^)

COMMENT

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重剣 | URL | 2008/05/23(金) 11:39 [EDIT]
王監督の物語かと、勘違いしてしまいました。
● 国が違うと…
進歩反刺 | URL | 2008/05/23(金) 11:48 [EDIT]
中国でも都会ではそうではないかもしれませんが、
結婚事情って凄く違うものなんですね…
中国の田舎っていうと牧歌的なのんびりしたイメージがあるのだけど‥‥本当の所はそんな綺麗な部分だけじゃないんだな〜

つくづく現代日本に生まれて良かったと思います。
● >重剣さんへ
阿吉 | URL | 2008/05/24(土) 01:04 [EDIT]
日本で一番有名な王(ワン)ちゃんは
王監督ですもんね(^^)

♪我ら~の、我らの~
ソフトバ~ンクホークス~!
● >進歩反刺さんへ
阿吉 | URL | 2008/05/24(土) 01:07 [EDIT]
>牧歌的なのんびりしたイメージ
そうですよね~。
私も風景とかはそんなイメージなのですが。

一人っ子政策のせいで、
女の子を妊娠したとわかると、
おろしたりというケースもあるそうです。
都会よりも、田舎の方がしがらみ多いですよね。

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